michiko-ono's-diary

美術部 書道部の部長の日記

第10話 パプリカとカンクン


わたしの名前は
オノミチコ
今日は文化祭だ

なんて言っても
親が車を出してくれる訳でもない

わたしの家は学区の外れの方にあって
40分は歩く

 

 

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ミユキはさらにここから10分離れた
ところに住んでいる

 

 

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こんな日ぐらい
か弱い2人の女の子の為に 学校が
ハイヤーを手配してくれても
いいのに わたしはそう思った

 

 

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家と学校のちょうど中間ぐらいにある
公園まで来た

 

 

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1年生の時 この公園で

片寄君と

通称「パプリカ」

ことバレー部の

高橋稔が

タイマンをした

 

 

 

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「両雄激突」

 

「歴史に残る名勝負」

 

「今井小の狂犬  対  百合小のパプリカ」

 

 

 

 

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意味が分からない

 

男子はどうして好きなんだろう

こういった感じの事

 

カンクンが特にそうだ

中学3年にして

もう英雄にされている

 

 

大塚完二  通称「カンクン」

 

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男子は言った

「ちがう正式には メキシコ・カンクン だ

彼は我々の太陽なんだ」

 

…観光地じゃんそれ

 それに私達は日本人だ

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私は完二でカン君と呼ぶのかと

思ったが それはそんなに

関係無いらしい

 

幼稚園の頃から 足が早すぎる事で
男子達の崇拝の対象になり

 

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この遺跡に雰囲気が似てる事から

メキシコのその地名になったらしい

ちなみに家はお惣菜屋さんだ

 

「カンクン」は

 一時期

「マヤ 」

だった時もあった  と

 

同じ百合小出身の和田さんが教えてくれた

 

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男子にそれを聞いたら

「マヤの時代が一番早かった…」

と 遠くの雲を眺めるように言った

 

そのマヤは 「早」とかかっている

 

運動会で 大塚君がリレーのアンカーをすると

 

「マヤ!」

「マヤー !」
「めっちゃマヤー!」

と男子が一斉に叫んだ

 

 

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クラスの
門田摩耶さんに

好意を抱いている大塚君を
からかったイジメかなんかだと

勘違いした先生が
緊急のホームルームを

開いた事もある

 

 

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それも和田さんが教えてくれた

 

カンクンは短距離も早かったが
マラソンがずば抜けていた

 

カンクンは1年、2年のマラソン大会
で断トツの1位だった

 

「ゴールテープはカンクンの為に存在した」

これも男子が言ったった言葉だ

 

 

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ミユキが「感動した !わたしもマジに
走ってみる」

 

そしてなかなか戻ってこなかった

 

心配した先生が探しに行ったら
シロツメクサで王冠を作っていた

それも友達の分まで

 

 

 

 

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カンクンは最後のマラソン大会で
テニス部の月下君に負けて2位だった

月下すげえ

とは誰も
言わなかった

 

「3年で勝っても意味はない」
「カンクンは膝を痛めていた」

 「月下は記録  カンクンは記憶」

 

男子は1位が好きな訳ではなく

 

カンクンが1位である事が好きだったん
だろう

 

気が着いたら公園を見ながら
ぼーっとしてた
ヤバい 遅刻する
早く行って黒板消そうと思ったのに

 

わたしは残り半分の道を歩き始めた

 

先はどうせ長いから

 

高橋君の「パプリカ」は

どうしてついたのか考える事にした

 

 

学校ついたら和田さん見つけて
答えを聞こう

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あとがき

この10話〜14話までが
文化祭のたった1日の しかも
午前中の話だった