michiko-ono's-diary

美術部 書道部の部長の日記

第02話 部長が立つ場所


わたしの名前は

オノミチコ

美術部の部長だ

わたししか 部員がいないから

わたしが 部長をやるしかない

美術部は出来上がった作品を

ロビーに展示している

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でもわたしは

一点も展示したことがない 

「なかなか仕上がりません」

と  嘘をついている

ほんとは

みんなに見られるのがコワイ 

 情け無い 部長だ 

去年の部長は ちがった

 

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大関いずみ    だ

 

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大関いずみ は天才だった

 

わたしが   美術部だと言えば
「ああ 大関さんの」
と みんな言う
最後の文化祭で

 

大関いずみ   は 『伝説 』になった

 

 

 

 

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『天才 大関』

『大関のいた美術部』

卒業してから

部長はさらに神格化されていった

わたしはとても部長

みたいにはなれない

部長がいたときは

美術部の部員であることが

誇りだった 

 

部長が新作を描きあげると

必ず 展示を手伝いに行った

ロビーは わたしの 聖域だった

でも今 聖域は
 ただの 白い壁だ

なにも 飾らなければ

だれも 見ない

ただの 壁だ

壁だから 何も言われない

言われないから

傷つかない 

 壁だ

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そのなにもない 白い壁を

 

アカバネ君が見ていた

 

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アカバネ君は野球部だ

でも試合に出たことがない

補欠の補欠だ

もう受験なんだし

部活に行かなくても
怒られないのに

アカバネ君は 毎日グランドに
に立っていた

怒られても どなられても

アカバネ君はグランドに

立っていた

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そのアカバネ君が

 

白い壁 の前に 立っている

 

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きっとアカバネ君も 

このロビーで

部長の絵を見るのが

好きだったんだろう

アカバネ君を見ていたら

部長の 後ろ姿を

思い出した

 

 

 

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なんで 後ろ姿なんだろう

 

 

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それに

なんで

 今 思い出すんだろう

 

部長は1人のとき

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なにを 思っていたんだろう

 


1人になった  わたしは

その部長の気持を

もういいかげん

理解しなければいけない

 いや 理解=行動

行動 しなければ意味が無い

 

わたしは 部室に向かった 

 

 

 部長が立っていた場所は

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アカバネ君が  毎日立っている

グランドと 同じ場所だ

 

わたしも やっと今から

そこに立つ

 

 

 

 

 

 

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あとがき

運動部やヤンキーではよくあるが
美術部で 伝説の先輩って
あまり出ない
文化系の部活が活躍する話も
なんとなく大勢の友情の話だったりする
1人ポツンとしている才能を
描いてみたかった