michiko-ono's-diary

美術部 書道部の部長の日記

第09話 夜の重低音と木魚


私の名前は
オノミチコ

明日はいよいよ
文化祭だ
わたしは展示する
絵を仕上げる為に部室にいた

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構内に残っている人はもう
大分減っていた

 

ズンドコズンドコ

 

重低音がしていた
オシャレーズ達だった

さっきトイレに行った時見たら
軽音部の部室が変わっていて

中にいた岩谷さんと

目が合ってしまった

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「ちょうど良かった
オノさん明日見に来てくれる?」

「わたしなんかが見に来ていいんですか?」

「オノさんじゃなきゃダメなの」

「? じゃあ …ミユキと来ます」

「約束ね」

なんだろう
社交辞令だろうか


私は部室に戻り
絵を再開させた

 

およそわたし と
岩谷さんはかけ離れている

岩谷さんはうちの学校で
1番 変身した子だ

岩谷さんは去年の文化祭まで
吹奏楽部だった

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文化祭が終わった後 何故か
彼女は部活を辞めた

そして
今の姿になった

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グレた 悪い男が出来た
いろいろな噂が飛び交った
それまでの友達は全員いなくなった
三年の女子に呼び出されたりした

三嶋君達と一緒になるまで
彼女は本当に1人だった

いまではそんな彼女に
挨拶したくらいで 浮かれる
1、2年生が増えた
ミユキなんかとも

友達になった

岩谷さんみたいな人は
どんな人が好きなんだろう

やはりもう外人かな

いっそ黒人かな

私はなぜか柔道部の白斗君が浮かんだ

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なんかすごいな
わたしはオシャレーズに
ミユキと白斗君を足して想像した

 

 

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 みんな どこへ向かうんだろう…

 

それに比べて私なんて…

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ズンドコ ズンドコ
ズンドコ ズンドコ
わたしは 岩谷さんや
ミユキと対等に渡り合える感性
を持っていない

わたしは臆病だし
地味だ

でもこういった文化祭の
時とかは
自分じゃない自分も
出してみたい

少しだけ そんな気分になる


帰りにアカバネ君に会った
照明が落ちた
グランドを1人で走っていた

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わたしはアカバネ君を呼び止めて
少しだけ話をした
アカバネ君のクラスは
出し物で神社をやるらしく
アカバネくんは会期中ひたすら
木魚を叩くお坊さん役だった

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だからみんなが気を使って
準備はするから 帰っていいと
言われたらしい
けどする事がなかったから
走っていたらしい

 

夜の校庭
1人の野球部

星がいくつか見えた

見えるんだな学校でも

わたしは 岩谷さんの
姿が浮かんだ

ズンドコズンドコズンドコズンドコ

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何か余計な事でも構わないから
やってみよう

わたしは教室に戻り
黒板に絵を描いた

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星空のつもりだったのに
チョークが白しかなかった

これでは雪の中の坊主と
セーラー服だ

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ポクポクポク ポクポクポク

やはりわたしはどこまでもわたしだ

どうせだれも見ないし
明日の朝には
綺麗に消されてしまうだろう
わたしは教室を出た

 

 

 

 

 

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次の朝 教室に着いたら
黒板は消されていなかった

 

理由はすぐに分かった

 

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あとがき

あとにも先にも ホワイトボードではなく
ブラックボードが出てきたのはこの回だけ
100均で余計な買い物をしたから生まれた話