michiko-ono's-diary

美術部 書道部の部長の日記

第05話 黒いのバカ


わたしの名前は

オノミチコ

美術部

だから美術室が部室だ

 

部室に置いてある

辻木順平太の
作品の裏に

女子がふざけて
落書きをした

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普段優しい早山先生が
めずらしく怒って
放課後
やった子達を
廊下に並べた

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辻木のバカと書いたのは
犬井エリカだった

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他の子がそれぞれ
自分が書いた箇所を
申告していったら

辻木のバカ と
エリカが余った

 

「辻木は  は たしかに 私が書きました
でも のバカ は書いていません!」

 

エリカは無理な嘘をついた

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「わかった
明日 辻木に謝れよ」

早山先生はそう言って
女子達を帰した

 

わたしも 幼稚園の
時に 無理な
嘘ついた事がある

 

スプレー缶を拾った

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わたしはそれで
近所の家のドアに 次々と
落書きをしていった

と言っても年齢が年齢だ

ただ吹きかけただけだった

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すぐに大人達に捕まった


「なんでこんなことしちゃったのかな」

大人達は困ってはいたが笑顔だった

 

子供のした事だし
親同士の話し合いで終わることだ

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なのに わたしは咄嗟に嘘をついた

 

「マスクをした
黒い女の人が やってきて
命令された」

 

「その女の人は どっちからきたの?」

「あっち」

「その女の人は どっちにいったの?」

「あっち」
わたしは迷わず 公園の方と
それから橋の方を指差した

 それ以来忘れてしまっていたが

今になってわたしは
女の人がちゃんと
そこにいたような気がしてきた


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逆光で真っ黒なシルエット

スプレーが入った紙袋

「やれ」

命令した  低い声

 

女の人は

あのあと橋を渡った

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橋を渡った女の人は

大通りに出て
タクシーを拾った

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それから

低い声で

行き先を言った

 

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わたしの

後ろをじっと見ていた

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落書きをされた

粘土の辻木が


あとがき

この話が一番表現方法が多い
粘土 イラスト パステル画 人形 実物のスプレー
ホワイトボードのイラスト
絵で押し切る方ではなくて
こっちを選んでいたら ミチコオノ日記は全然
違うものになっていた思う